猫種図鑑

ロシアンブルー 出身地 ロシア

飼いやすさ

特徴

平均体重

3~5㎏

被毛

短く滑らかな手触り

毛色

ブルー

目の色

グリーン

成猫時のサイズイメージ

代表的な毛色

ブルー

どんな猫?

ロシアンブルーの名前の由来ともなっているアッシュブルーな毛並み。これが、動きによってグラデーションを描く様子は、ずっと見ていても飽きることがありません。その特徴的な毛の色に対して、鮮烈なブルーの両目が大変美しく映えます。 そうした外見から、クールな性格なのでは?とか、懐かない気ままな性格なのでは?と考える向きもあるようですが、果たして実際はどうでしょうか?まずは、ロシアンブルーの性格について紐解いていきたいと思います。

・犬に似ている

ロシアンブルーの性格は「犬に似ている」と言われることが多々あるようです。その理由は、飼い主に忠誠心を持ち、従順とも言える行動をとるためだとされています。一般的に猫は「気ままでマイペース」と言われますが、ロシアンブルーの性格は真逆に感じられますね!

しかし、誰に対しても従順というものでもなく、従う相手を選ぶという一面もあるそうです。家族の中でも「この人には従うけど、この人のことは…それほどでもない」なんて選り好みするのだとか。とにかく、気位が高いということだけは間違いなさそうです。

自分が認めた相手には絶対的とも言えるほど好意を寄せてくれる性格や、気品すら漂う美しさから、ロシアの皇帝や貴族たち、英国の貴族階級の間でも大変愛されたと伝わっています。貴族たちの膝のうえで優雅にくつろぐロシアンブルー…とっても絵になりますね。

・ほとんど鳴かない

貴族のような気高さを感じさせる種類の猫・ロシアンブルーは「ボイスレスキャット」と言われるほど鳴くことが少ないことでも知られています。そのため、マンションなどの集合住宅でも一緒に暮らしやすいといえるでしょう。

・運動が好き

均整のとれた身体のロシアンブルーは、筋腱がよく発達し、敏捷に活動します。その動きも大変しなやかです。

そんなロシアンブルーは、肥満を予防しプロポーションを保つためにも、しっかりとした運動量を確保してあげる必要があります。 もし「最近あんまり動いていないな」と感じたなら、飼い主が遊んであげるようにしてあげましょう。できれば、子猫のころから「遊びグセ」を付けてあげられるといいですね。他の猫はさておき、ロシアンブルーなら、飼い主がお誘いすればきっと遊んでくれるはずですよ!

・宝石のような目の色

ロシアンブルーの目の色は、グリーンが一般的です。ですが、ロシアンブルーは子猫のときには淡いブルーです。このブルーを“キトンブルー”と呼び、キトンというのは生まれたばかりの子猫という意味です。とはいえ、本当に青いというわけではなく、透明な瞳に光が反射して青く見えています。

また、成長していく途中で、目の色が変化していくのがロシアンブルーの大きな特徴といえます。ロシアンブルーの目の色がグリーンになる理由は、日差し(メラニン色素)が関係しており、ロシアンブルーの原産国であるロシアは、日本やアジアに比べて日差しが弱い地域。人間も、同じように日差しの弱いヨーロッパの方が目の色がブルーやグリーンの方が多いのと同じ原理というわけです。

性格

犬に似ていると前述したとおり、普通、猫はマイペースで他人にあまり関心を持たない性格の子が多いのに対して、ロシアンブルーは“人”をしっかり認識して行動します。そのため、この人であれば甘えてもいい!この人であればいたずらしてもいい!等、人によって態度を変えることができる究極の人見知り猫といえるでしょう。賢くて大人しい種類だからこそ、本当に信頼している家族にはべったりと甘えてきてくれますので、飼いにくい・なつきにくいということはありません。

歴史

名前の通りロシア出身と伝わる猫。「ACCスタンダードブック(中央ケネル事業協同組合連合会・アジアキャットクラブ編)」によると、「スカンジナビアのアルハンゲリスク港が故郷と言われ、1860年代に西ヨーロッパに渡って来た」とあります。

ちなみに、この港はロシアの中でも珍しい不凍港(厳しい冬でも海が凍らない港)で、17世紀末からは軍港として、現在では観光地として人気の場所となっています。きっと、ここにいたロシアンブルーの祖先猫たちが、船乗りたちと一緒に海を渡ったのでしょうね。

ヨーロッパに渡ってからは「初期のロシアンブルーはスパニッシュブルー、 マルタ猫などさまざまな呼ばれ方をしていた(前述同著より)」とも伝わっています。

もともとはがっしりとした体型のイギリスタイプと、細身のロシアタイプの2種類に区別されていたそうですが、1940年代からブリーダーによってシャム猫と交配されたことで、今のような筋肉質でスレンダー、手足が長くてスタイルのよい体型(フォーリンタイプ)になっていきました。

寿命について

アニコムの「家庭どうぶつ白書2022」によると、ロシアンブルーの平均寿命は13.9歳。 猫全体の平均寿命が14.4歳なので、数字だけ見れば少し短めです。しかし、実際にどれくらい生きられるのかは、その猫が持って生まれた体の強さや飼育環境によって異なります。愛情を持って、大切に育ててあげてください。

気を付けたい病気

日頃からどんなに気を付けていても、どれだけ愛情を注いでも、残念ながら病気にならない保障はありません。だからこそ「起こりやすい病気」を知っておくことで、早期発見・早期治療につなげられるようにしてあげましょう。

・肥満症

肥満は、体脂肪が過剰に蓄積されることで起こる症状です。これによって起こる直接の問題は、運動量の低下や呼吸が浅くなる、などが挙げられます。しかし本当に恐ろしいのは、さまざまな疾患を引き起こすトリガーになる、という点です。これは、人間でも同じことなので想像しやすいかと思います。

肥満によって引き起こされるリスクとしては、次のことが挙げられます。

① 別の疾病を引き起こす:糖尿病、高脂血症、心臓病、尿路結石、関節炎、気管虚脱など

② 手術が困難になる:麻酔がかかりづらい、手術がしづらい、術後の経過が遅くなるなど

③ 出産に悪影響が及ぶ:発情期の乱れ、受胎率の低下、難産など

(参考:「犬と猫の栄養学(著 奈良なぎさ)」緑書房)

身体に余分なお肉が付いてしまうと動きづらくなり、それが原因でさらに肥満度を高めることも…。肥満の状態から適正体重に戻すことの難しさは、多くの飼い主も身に覚えがあるはず。

そんな苦労を猫にも負わせてしまうことがないように、普段から肥満にならないよう摂取カロリーと運動に気づかってあげましょうね。

・尿路結石(尿石症)

「尿路結石」は、過剰に摂取した塩分中のミネラルが膀胱や尿管で結晶化してしまう病気です。痛みや出血のほか、ひどくなると膀胱にたまった尿が尿道から排泄される際にこの結石がつまってしまい、尿毒症や急性腎不全を引き起こすこともあります。そうなると、手術が必要になったり、命に関わる問題にもなりかねません。

猫は水をあまり飲まない種類の動物とされており「尿路結石」のリスクが高いと言われています。それは、猫の祖先とされる種が乾燥地帯でも生きられるように進化し、あまり水を飲まなくても摂取した水分を効率よく活用できるようになったからだと考えられます。

さらに、ロシアンブルーについては遺伝的に腎臓の機能が弱い子がいると分かっているので、尿路結石に対して、注意してもしすぎることはなさそうです。水をできるだけ飲ませたり、フードをウェットタイプにするなどの対策を講じておくと良いでしょう。

・糖尿病

糖尿病は、インスリンの作用不足や分泌不全によって代謝異常を引き起こす病気です。猫ちゃんの場合は、前者のことが理由で引き起こされることが多いとされます。

悪化すると定期的なインスリン注射が必要になるなど、猫にとっても飼い主にとっても負担が大きいので、十分、注意をしてあげましょう。

人間でも「生活習慣病」と言われるほど、暮らしの習慣と密接につながっている病気です。日ごろからの正しい食生活はこの病気のリスクを下げる重要な要素だと意識しておくといいですね。

症状としては、普段以上に水をよく飲み、おしっこの量が増えること。そして、急に歩き方がぎこちなくなったり、体重が減少するなどが挙げられます。

そうした変化があったらすぐにかかりつけの動物病院に連れて行って あげるようにしましょう。糖尿病は、早期発見と進行の防止が不可欠です。ぜひ、そのことを忘れないであげてくださいね。