猫種図鑑

シャム 出身地 タイ

飼いやすさ

特徴

平均体重

3~4kg

被毛

短毛

毛色

白が基調の淡いカラーに、顔と耳、尻尾、脚先が濃い色でポイントとなっているのが特徴

目の色

サファイアブルー

平均体重

成猫時のサイズイメージ

代表的な毛色

ブルーポイント
シールポイント

どんな猫?

「シャム」は1939年までのタイの正式国名。その名の通り、シャムはタイで古来から飼われてきた歴史の深い猫です。日本ではシャムと呼ばれることが多いのですが、海外では「サイアミーズ」と呼ばれています。

ちなみにタイでは「月のダイヤモンド」を意味する「ウィチアン・マート」と呼ばれています。とっても神秘的な呼び名ですね。一体どんな猫なのか、特徴や性格、その歴史を見ていきましょう。

身体的特徴

シャムの外見はまさに「エレガント」や「優美」といった言葉がぴったり。すっきりとスレンダーな体型にすらりと長い脚をしています。華奢に見えますが筋肉がよく発達していて、動きは敏捷。毛は短毛で、体は白が基調の淡いカラーに、顔と耳、しっぽ、脚先が濃い色でポイントとなっているのが特徴です。顔は顎から耳の先に向かってきれいな逆三角形を描きます。瞳の色はサファイアブルー。聡明で快活な表情を見せる気品に溢れた猫です。

性格

シャムはとても賢く、気難しい性格です。その反面、コミュニケーションをとることが好きで、遊ぶのが大好き。飼い主さんには忠実で愛情深く、たくさん遊んでほしいと思っています。教えると犬のようにボールをとってくる遊びもできるようになるとか。その分、長い時間一頭だけで過ごすことは苦手。クールで知的、でも寂しがり屋で甘えん坊というギャップは猫好きにはたまらない魅力ではないでしょうか。また、よく鳴く猫であることも知られていて、大きな声で鳴くこともあるといいます。この点は品種改良によって改善されてきているようです。

歴史

正確な起源は不明ですが、500年以上前からタイの王室で飼われ続けていました。アユタヤ王朝時代(1351~1767年)に作られた古い詩集の中で幸運を招く17種の猫のひとつとして記されています。富裕層や寺院といった身分の高い人々にも飼われていて、タイに伝わる迷信や伝説にもよく登場します。

世界に知られるようになったのは、1800年代後半のこと。1871年にロンドンで開かれた世界初のキャットショーに、2頭のシャムが登場し注目されました。1884年にはタイの王族からバンコクのイギリス総領事に2頭のシャムが送られ、初めて血統書付きのシャムがイギリスに渡りました。アメリカに渡ったのは1879年。バンコクのアメリカ領事からアメリカ大統領夫人に「シャム」という名前のメスが贈られました。

その後1940~50年代にかけて、世界で人気が急上昇。日本でも1950年代に人気が高まり、以降長らく猫の純血種といえば「シャム」として親しまれてきました。

寿命について

アニコムの「家庭どうぶつ白書2022」によると、猫全体の平均寿命は14.4歳となっています。シャムの寿命は15~20年といわれていて、猫の中では長寿の方だといえるでしょう。もちろん実際にどのくらい生きるのかはその猫が生まれ持った性質や飼育環境によって異なります。大切に飼って長くつきあっていきましょう。

飼う上で知っておきたいこと

高貴な気品漂うシャムを飼うには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。二面性のある性格をよく理解した上で、適切な環境と食事を用意しましょう。

・環境づくり

運動量の多い猫種なので、日常的に思いきり体を動かせる環境が必要です。猫が過ごす場所はなるべく広いスペースを確保し、キャットタワーを設置するなど、たくさん動ける工夫をしてください。そして毎日一緒に遊ぶ時間を確保します。遊びの時間には、大好きなおもちゃやボールを使って存分に体を動かしてあげましょう。

社交的な猫なので、他のどうぶつや猫と一緒に飼うこともできるといわれています。ですが、独占欲が強く飼い主さんを独り占めしたいタイプで、嫉妬をすることもあります。できれば単独飼育が良いでしょう。ほかのペットがいる場合はトラブルにならないよう注意しましょう。

また、タイという暑い国の原産で短毛なため、寒さは苦手です。温度管理ができる室内飼いにして、寒い時期にはとくに室温に気を配りましょう。

・ごはんについて

筋肉質な体型を支えるため、良質なタンパク質を含むフードが望ましいでしょう。また、顔の形から早食いの傾向がある子もいるので、ゆっくりと食べられるように粒が大きめのドライフードを選ぶ方も多いようです。

シャムは繊細な性格なので、食事の内容を変える時は、少しずつ新しいフードを混ぜて、徐々に切り替えていく方法がおすすめです。

・ケアについて

週に2~3回、ブラッシングを行いましょう。飼い主さんが大好きな猫なので、お手入れも喜んでやらせてくれるはず。お手入れがてらマッサージもして楽しいコミュニケーションの時間にしていくと良いですね。

気を付けたい病気

シャムは世界的に長く飼われているので、かかりやすい病気がいくつかあることがわかっています。あらかじめどんな病気があるのかを知っておき、予防や早期発見に活かしてください。

・喘息

何らかの原因で気管や気管支が炎症を起こし、気道が狭くなることで咳やゼーゼーと音がする呼吸、呼吸困難などの症状があらわれます。発作が重くなると命に関わることも。主な原因はアレルギーといわれています。アレルゲンとして、ハウスダスト、ダニ、花粉、カビ、猫砂の細かい粒子のほか、タバコの煙や芳香剤、香水といった化学物質が考えられます。猫のいる環境をこまめに掃除すること、粒子が細かくなりにくいタイプの猫砂を使うこと、タバコや香水など刺激のあるものは猫から遠ざけることが予防になります。

・慢性腎臓病

腎臓の機能が長期間にわたってゆるやかに低下し続ける病気です。「多飲多尿」といって、たくさんお水を飲んで、たくさんおしっこをする症状が見られたら、要注意です。進行すると老廃物や有害物質を排泄できなくなり、やがて致死的な尿毒症を起こします。猫全体に多い病気であり、特に高齢になるにつれ多く見られますが、シャムは遺伝的な要因でかかることもあり、発症率はほかの猫の2倍ともいわれています。

代表的な症状として体重の減少、食欲不振がありますが、初期の変化は緩やかでなかなか気づきにくいものです。はっきりと病気がわかる頃にはかなり進行しています。一度悪くなった腎臓は元に戻ることはありません。この病気にかかったら、投薬と食事療法で進行をおさえることしかできません。それでも、うまくいけば病気を抱えながらも長生きしてくれます。日頃から健康状態をよく観察し、体重や食欲、飲水量、尿の状態の変化に気づいたら獣医師に相談するなどして早期発見を目指しましょう。

・眼球振盪(がんきゅうしんとう)

自分の意思とは無関係に眼球が揺れる症状で、「眼振(がんしん)」と呼ばれることもあります。病気が原因で起こる場合と生理的に起こる場合があり、シャムによく見られるといわれています。ほとんどが生まれつきのもので治療方法もありませんが、生活していく上で大きな問題はありません。神経や筋肉の病気から起こることもあるので、症状に気づいたら一度受診しておくと安心です。

シャムを迎えるにあたって

日本で飼われる猫の種類は多様化が進み、これまであまり見られなかった品種が次々と新しい人気猫種に仲間入りしています。一方で、シャムのような長く人気を保ってきた猫は、昔の猫というイメージでかえってレアになっているかもしれません。けれどその特徴を見てみると、コロコロ気が変わる気分屋、遊び好き、嫉妬深いという性格は、まさに猫の王道といえるのではないでしょうか。どんな時代になっても、シャムが人々を魅了する猫であることは変わりません。家族として迎え入れれば、きっとあなたの猫ライフを豊かに彩る良きパートナーとなってくれるでしょう。