子犬子猫の内部寄生虫について

内部寄生虫ってなに?

下水道が完備される前、都市での衛生的な暮らしを手に入れるまでは、人間にとっても寄生虫は身近なものでした。

地面に鼻をつけて匂いを嗅ぎ、ペロペロ舐める犬や猫は、人と同じような衛生的な暮らしは困難で、少なからず寄生虫に感染してしまうという実態があります。寄生虫に感染すると、完全に体内から排除することは難しいので、定期的な駆虫が有効です。

成犬や成猫になると少量の寄生があっても、自分の免疫力で寄生虫の症状を抑えられることが多く、多くは治療の対象となりません。(免疫力の低下などがあり、体と寄生虫のバランスが崩れ、症状が発現した時は、治療の対象となります。)

しかしながら、子犬や子猫では、免疫力が弱く、体力もないことから、重症化して、ひどい下痢や嘔吐を起こす場合があります。また、一度駆虫して症状が落ち着いても環境の変化などのストレスでなどで突然下痢を発症することもあります。駆虫が済んでいても、効果が不十分な場合があります。必要に応じて動物病院を受診することが大切です。

子犬や子猫では急に体調が悪化し命に関わることもあるため、下痢などの消化器症状がみられた場合には、早めに動物病院の受診をお願いいたします。

子犬子猫でよくみられる内部寄生虫

トリコモナス

腸トリコモナスという原虫が口から感染(経口感染)し、主に大腸に寄生します。通常、成犬や成猫では無症状の場合が多いです。

しかし、子犬子猫は免疫力が弱く、体力も無いため、下痢や血便などの消化器症状を起こすことがあります。

トリコモナス単独ではなく、他の寄生虫や細菌と混合感染して発症することが多いと言われています。

人に感染することもありますが、人には病原性が弱いとされています。

ジアルジア

ジアルジアという原虫が経口感染し、主に小腸に寄生します。成犬や成猫では無症状の場合が多いですが、子犬や子猫では悪臭を伴う下痢、成長不良、嘔吐などの症状がみられることがあります。
トリコモナスなど他の原虫との混合感染もしばしばみられます。
まれに人にも感染することがあります。

コクシジウム

コクシジウムという原虫が経口感染し、主に小腸に寄生します。成犬や成猫では無症状の場合が多いですが、子犬や子猫では水様性の下痢がみられ、悪化すると脱水、貧血、栄養失調などを引き起こします。
人への感染は無いとされています。

回虫

回虫という線虫が経口や乳汁等で感染します。虫卵は肉眼では見えませんが、成虫は長さ5-10cmくらいの白い糸状の虫で、糞便中や嘔吐物に混ざって確認されることがあります。
少数寄生の場合はほとんど症状がみられませんが、子犬や子猫で大量寄生した場合には、食欲不振、下痢、嘔吐などの症状がみられます。
人に感染することもあります。

糞線中

糞線虫という線虫が経口、乳汁や皮膚などから感染し、主に小腸に寄生します。犬での発生が多く、日本国内では猫への寄生はほとんどみられておりませ成犬では無症状の場合が多いですが、子犬では下痢や体重減少がみられることがあります。
皮膚から感染した場合、血管に入り込み肺に侵入し、呼吸器症状を起こすことがあります。
人に感染することもあります。

まとめ

子犬や子猫をお迎えしていただいた後に、心配な症状が見られた場合には、動物病院を受診してください。

お腹の中に寄生があっても、1度の糞便検査では見つからないこともあります。その場合は、繰り返し検査を行うことがあります。

中には人に感染するものもありますので、日頃から、糞便はすぐに取り除き、良く手を洗うことが大切です。